0530 流通 問屋とは
日本の主要な業界における流通のフロー(流れ)を以下に、食品業・アパレル業・家電業の3つに分けて解説します。それぞれの業界には特徴的な流通構造があります。
✅ 1. 食品業の流通フロー
特徴:中間業者が多く、産地・鮮度・品質管理が重要。
【生産者(農家・漁業者など)】
↓
【集荷業者(JA・漁協・中卸)】
↓
【卸売業者(地方卸売市場・中央卸売市場)】
↓
【仲卸業者】
↓
【小売業者(スーパー・コンビニ・飲食店)】
↓
【消費者】
▶ 解説:
- JA(農協)などが地域で集荷を行い、卸売市場に流す。
- 中央卸売市場では公的に価格が決まる場合が多く、仲卸が仕入れ。
- 近年は、産地直送や契約農家との直接取引(例:イオンやオイシックスなど)も増加中。
✅ 2. アパレル業の流通フロー
特徴:企画・製造から販売までを一貫する「SPAモデル」が増加。
【企画・製造(メーカー・OEM)】
↓
【ブランド本部(商社や企画会社を含む)】
↓
【卸売業者(代理店・ディストリビューター)】
↓
【小売業者(百貨店・セレクトショップ・自社EC)】
↓
【消費者】
▶ SPAモデル(ユニクロ、ZARAなど):
【企画 → 生産 → 物流 → 販売】までを一社で管理
▶ 解説:
- 高級ブランドは「商社 → 百貨店」ルートが主流。
- 中間流通を排除し、コスト削減とスピード重視のSPAが大手では主流になりつつある。
- EC比率が高まり、**D2C(Direct to Consumer)**モデルの台頭も。
✅ 3. 家電業の流通フロー
特徴:メーカー主導の強い垂直構造+量販店の力が強い
【メーカー(パナソニック・ソニーなど)】
↓
【卸売業者(代理店・ディストリビューター)】
↓
【量販店本部(ヤマダ・ヨドバシなど)】
↓
【店舗/オンラインストア】
↓
【消費者】
▶ 解説:
- メーカーが商品の企画力・技術力を握っている。
- ヤマダ電機・ヨドバシカメラなどの大型量販店本部が強い影響力を持ち、仕入価格の交渉力も強い。
- 一部メーカーは**直販型(Appleストア、ダイソン)**を採用。
- ネット通販(Amazon、楽天)との競争が激化し、価格競争が厳しい。
🔄 補足:変化しているポイント
業界 | 変化の傾向 |
---|---|
食品 | 産直・EC化、サプライチェーンの短縮、冷凍技術の向上 |
アパレル | D2C、EC強化、在庫削減・環境対応 |
家電 | 直販モデルの増加、オンライン販売の比率増 |
記事
4.「ドンキ」のPPIH、小泉農相にコメ流通で意見書 卸の許認可制を提案
PPIHが展開するディスカウント店「MEGAドン・キホーテ」
ディスカウント店「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は28日、小泉進次郎農相(のうそう)宛てにコメ流通の問題点に関する意見書を提出した。
①コメの保管設備や販売量の証明などの届け出制や
②卸業者の許認可制などを提言した。
吉田直樹社長の名義で送った。
意見書ではコメ流通の問題点として
①「JAグループと取引する1次問屋は実質的に特約店のように決めているので新規参入ができない」と指摘。
また、
②「最大5次問屋まで存在するなど多重構造により、中間コストに加えてマージンがそれぞれ発生する」とした。
「①と②により、市場競争が生まれない卸構造が仕入れ価格や販売価格の高騰の要因になっている」と訴えた。
その上で、
(提言)小売業者が直接JAと卸価格を交渉し、卸業者に仕入れを依頼することで
(効果)中間コストが可視化できて仕入原価の削減につながる
と提案した。
投機目的の買い占めを防ぐために、コメの保管設備や販売量の証明などの届出制や業者の許認可制を導入するといった仕組み作りが必要だとした。
PPIHは政府備蓄米の随意契約を申請し、1万5000トンを仕入れる予定だ。
まずは都内の一部店舗で早ければ週明けにも2000円程度で発売し、順次、販売店舗を広げていく。
✅ ① 問屋の存在価値とは何か?
問屋(=卸業者)は、生産者と小売業者の中間に立つ流通のプロフェッショナルです。日本では特に、食品・アパレル・家電など多くの業界で重要な役割を果たしています。
🌟 主な存在価値(メリット):
機能・役割 | 説明 |
---|---|
1. 商品をまとめて仕入れ、小売に分配 | メーカーや農家から商品を大量に仕入れ、小売店舗ごとに必要量に分けて納品します。 |
2. 在庫・物流管理 | 小売業者が保管や配送の手間を省ける。とくに全国に店があるチェーンでは有効です。 |
3. 与信・リスク分散 | 小売に対して商品の掛売り(信用取引)を行い、メーカーのリスクを肩代わりします。 |
4. 価格調整・情報提供 | 市場の需給バランスを見て価格を調整したり、流行や消費者の声をメーカーにフィードバックします。 |
5. 販路開拓 | メーカーが自分で営業せずとも、問屋が販路(販売先)を広げてくれます。 |
👉 特に中小のメーカーや小売業にとって、問屋は**「販売・物流・信用の代行者」**として非常に助かる存在です。
✅ ② 日本の「関係重視」の取引とは何か?
これは、日本のビジネス文化の大きな特徴で、「取引先との長期的な信頼関係」を非常に重視することを指します。
🌸 特徴的なポイント:
特徴 | 内容 |
---|---|
1. 長期的な取引関係を維持 | 価格や効率よりも「長く取引してきた相手」との関係を大切にする。新規参入が難しい理由でもあります。 |
2. 義理・人情・信頼 | 契約書より「信頼」が重視される傾向。口約束でも信用が成立する場合も。 |
3. 顔の見える関係 | 形式的な取引より、「相手の人柄・誠意」を重視し、関係構築に時間をかける。 |
❗ この文化の課題点:
- 新規業者や外国企業が入りにくい。
- 不透明な価格形成や、多重構造が温存されやすい。
- 効率やイノベーションが遅れることもある。
たとえば、セツさんが質問された「コメの流通問題」もこの「関係重視」の文化が背景にあります。
JAと既存の1次問屋が強く結びついていて、新しい業者が入れないのは「関係性」重視の結果です。
💡まとめ
テーマ | ポイント |
---|---|
問屋の価値 | 物流・信用・販売支援などの機能があり、中小企業には不可欠な存在。 |
関係重視文化 | 信頼を基に長期的に取引するが、新規参入や効率化の妨げになる場合も。 |