中国アリババQwen、日本製AIの土台に　性能ランクDeepSeek超え

テック #スタートアップ

2025/5/6 5:00 [会員限定記事]

アリババクラウドのAIモデルQwen=ロイター

アリババクラウドの人工知能（AI）「通義千問（Qwen）」が日本でも存在感を高めている。オープン型として外部に技術を開放するQwenモデルを、AI開発のABEJAなど国内新興企業が利用する。日本経済新聞社が4月に公開した「AIモデルスコア」では、Qwenモデルが中国のディープシークのモデルを上回って6位につけた。

【関連記事】ABEJA、「GPT-4o」性能上回るAIモデル

ABEJAは4月17日、新モデルの「QwQ-32B Reasoning Model」を発表した。連鎖的に思考をつなげて回答を出力する論理推論（ろんりすいろん）型で高い性能を発揮した。このモデル開発の土台となったのが、アリババのQwenモデルだ。

日本経済新聞社の専門メディア「NIKKEI Digital Governance（日経デジタルガバナンス）」が米中日などの主要AIモデルの性能を日本語で測定した総合ランキングでは、1月発表の「Qwen2.5-Max」が113モデル中6位につけた。文法などの基礎言語力にとどまらず、論理的推論や数学でも好成績を出した。

Qwenのオープン型モデルが高い性能を発揮するのも特徴だ。オープン型の「Qwen2.5-32B」はモデルスコアで26位につけた。米グーグルのオープン型AI「Gemma-3-27B」（32位）や、米メタの「Llama-3-70B-Instruct」（57位）を上回った。

オープン型のモデルは、外部企業が学習させて独自のAI開発につなげられる。モデルスコアで日本勢首位（全体で21位）のモデル「ABEJA-Qwen2.5-32B」もQwenをベースに開発された。

日本の新興企業では、東京大学発のELYZA（東京・文京）が5月1日にQwenベースで開発したモデルを公開。同じく東大発のLightblue（東京・千代田）やAxcxept（札幌市）も利用している。

野村総合研究所の李智慧氏はQwenについて「少ないデータセットで高い精度を出せるため、複数の指標で日本語能力の高さが評価されている」と指摘する。

海外でも注目度は高い。アリババクラウドによると、プログラム共有サイト「ハギングフェイス」上ではQwen派生モデルが10万件以上開発されている。ほかの中国発オープン型モデルと比べても「世界的に実力が評価されている」（李氏）。

アリババクラウドは日本企業向けにもモデルの調整やカスタマイズを進める考え。AIモデルを日本国内のサーバーで展開するサービスでは「データを海外に移すことなくQwenを活用できる」（同社）とし、重要情報の国外流出リスクにも目配せする。

アリババクラウド・ジャパンの与謝野氏は「中国での成功例を輸入していきたい」と語る
すでに国内の複数企業と交渉を進めており、日本責任者の与謝野正宇氏はQwenモデルを使う案件を「3年で1000件以上に増やす」（与謝野氏）と意欲を示す。

アリババクラウドは4月29日、最新モデル群のQwen3も公開した。事前学習に用いたデータはトークン数（モデルが処理するテキストの最小単位）が約36兆と、Qwen2.5の約2倍。119の言語・方言に対応するなど急速な進化を見せる。

オープン型では同じ中国発の新興ディープシークも台頭しており、行政、自動車、金融といった幅広い業種でモデル採用が広がる。オープン型は多数の開発者が利用するため検証と改善が進みやすいのが特徴だ。オープン重視の戦略をとる中国発AIがオープンAIなど米国勢を性能面で猛追する構図は当面続きそうだ。

（杉山翔吾、岩沢明信、貴島逸斗、江口良輔）

AIモデルスコアの調査概要

NIKKEI Digital Governanceと機会学習ツールを提供する米Weights & Biases（ウェイツ・アンド・バイアスィズ）との共同調査で国内外の主要AIモデルの性能を随時計測している。22日公開のスコアでは計113モデルを対象に言語力や倫理観などを総合評価した。日本語で性能を測れる評価テストを用い、質問文を入力し返ってきた文章を採点・評価。解かせた問題数は1モデルあたり6000超で「会話・創作力」「道徳性」など、15種類の項目別に正答率などの平均値をとり、モデルごとのスコアを偏差値として算出した。
調査の詳細はNIKKEI Digital Governance「AI Model Score」で公開している。

フリガナ

2.中国（ちゅうごく）アリババQwen、日本（にほん）製（せい）AIの土台（どだい）に　性能（せいのう）ランクDeepSeek超（こ）え
#テック #スタートアップ
2025/5/6 5:00 [会員（かいいん）限定（げんてい）記事（きじ）]

アリババクラウドのAIモデルQwen=ロイター

アリババクラウドの人工知能（じんこうちのう）（AI）「通義千問（つうぎせんもん）（Qwen）」が日本（にほん）でも存在感（そんざいかん）を高（たか）めている。オープン型（がた）として外部（がいぶ）に技術（ぎじゅつ）を開放（かいほう）するQwenモデルを、AI開発（かいはつ）のABEJAなど国内（こくない）新興（しんこう）企業（きぎょう）が利用（りよう）する。日本経済新聞社（にほんけいざいしんぶんしゃ）が4月（がつ）に公開（こうかい）した「AIモデルスコア」では、Qwenモデルが中国（ちゅうごく）のディープシークのモデルを上回（うわまわ）って6位（い）につけた。

【関連記事（かんれんきじ）】ABEJA、「GPT-4o」性能（せいのう）上回（うわまわ）るAIモデル
ABEJAは4月17日（がつじゅうしちにち）、新（しん）モデルの「QwQ-32B Reasoning Model」を発表（はっぴょう）した。連鎖的（れんさてき）に思考（しこう）をつなげて回答（かいとう）を出力（しゅつりょく）する論理推論型（ろんりすいろんがた）で高（たか）い性能（せいのう）を発揮（はっき）した。このモデル開発（かいはつ）の土台（どだい）となったのが、アリババのQwenモデルだ。

日本経済新聞社（にほんけいざいしんぶんしゃ）の専門（せんもん）メディア「NIKKEI Digital Governance（日経（にっけい）デジタルガバナンス）」が米中日（べいちゅうにち）などの主要（しゅよう）AIモデルの性能（せいのう）を日本語（にほんご）で測定（そくてい）した総合（そうごう）ランキングでは、1月（がつ）はっぴょうの「Qwen2.5-Max」が113モデル中6位（い）につけた。文法（ぶんぽう）などの基礎（きそ）言語力（げんごりょく）にとどまらず、論理的（ろんりてき）推論（すいろん）や数学（すうがく）でも好成績（こうせいせき）を出（だ）した。

Qwenのオープン型（がた）モデルが高（たか）い性能（せいのう）を発揮（はっき）するのも特徴（とくちょう）だ。オープン型（がた）の「Qwen2.5-32B」はモデルスコアで26位（い）につけた。米（べい）グーグルのオープン型（がた）AI「Gemma-3-27B」（32位（い））や、米（べい）メタの「Llama-3-70B-Instruct」（57位（い））を上回（うわまわ）った。

オープン型（がた）のモデルは、外部（がいぶ）企業（きぎょう）が学習（がくしゅう）させて独自（どくじ）のAI開発（かいはつ）につなげられる。モデルスコアで日本勢首位（にほんぜいしゅい）（全体（ぜんたい）で21位（い））のモデル「ABEJA-Qwen2.5-32B」もQwenをベースに開発（かいはつ）された。

日本（にほん）の新興企業（しんこうきぎょう）では、東京大学発（とうきょうだいがくはつ）のELYZA（東京・文京（とうきょう・ぶんきょう））が5月1日（がつついたち）にQwenベースで開発（かいはつ）したモデルを公開（こうかい）。同（おな）じく東大発（とうだいはつ）のLightblue（東京・千代田（ちよだ））やAxcxept（札幌市（さっぽろし））も利用（りよう）している。

野村総合研究所（のむらそうごうけんきゅうじょ）の李智慧氏（りちえし）はQwenについて「少（すく）ないデータセットで高（たか）い精度（せいど）を出（だ）せるため、複数（ふくすう）の指標（しひょう）で日本語能力（にほんごのうりょく）の高さが評価（ひょうか）されている」と指摘（してき）する。

海外（かいがい）でも注目度（ちゅうもくど）は高（たか）い。アリババクラウドによると、プログラム共有（きょうゆう）サイト「ハギングフェイス」上（じょう）ではQwen派生（はせい）モデルが10万件（まんけん）以上（いじょう）開発（かいはつ）されている。他（ほか）の中国発（ちゅうごくはつ）オープン型（がた）モデルと比（くら）べても「世界的（せかいてき）に実力（じつりょく）が評価（ひょうか）されている」（李氏（りし））。

アリババクラウドは日本企業向（にほんきぎょうむ）けにもモデルの調整（ちょうせい）やカスタマイズを進（すす）める考（かんが）え。AIモデルを日本国内（にほんこくない）のサーバーで展開（てんかい）するサービスでは「データを海外（かいがい）に移（うつ）すことなくQwenを活用（かつよう）できる」（同社（どうしゃ））とし、重要情報（じゅうようじょうほう）の国外流出（こくがいりゅうしゅつ）リスクにも目配（めくば）せする。

アリババクラウド・ジャパンの与謝野氏（よさのし）は「中国（ちゅうごく）での成功例（せいこうれい）を輸入（ゆにゅう）していきたい」と語（かた）る。すでに国内（こくない）の複数企業（ふくすうきぎょう）と交渉（こうしょう）を進（すす）めており、日本責任者（にほんせきにんしゃ）の与謝野正宇氏（よさのまさたかし）はQwenモデルを使（つか）う案件（あんけん）を「3年（ねん）で1000件以上（けんいじょう）に増（ふ）やす」（与謝野氏（よさのし））と意欲（いよく）を示（しめ）す。

アリババクラウドは4月29日（がつにじゅうくにち）、最新（さいしん）モデル群（ぐん）のQwen3も公開（こうかい）した。事前（じぜん）学習（がくしゅう）に用（もち）いたデータはトークン数（すう）（モデルが処理（しょり）するテキストの最小単位（さいしょうたんい））が約36兆（ちょう）と、Qwen2.5の約2倍（ばい）。119の言語（げんご）・方言（ほうげん）に対応（たいおう）するなど急速（きゅうそく）な進化（しんか）を見（み）せる。

オープン型（がた）では同（おな）じ中国発（ちゅうごくはつ）の新興（しんこう）ディープシークも台頭（たいとう）しており、行政（ぎょうせい）、自動車（じどうしゃ）、金融（きんゆう）といった幅広（はばひろ）い業種（ぎょうしゅ）でモデル採用（さいよう）が広（ひろ）がる。オープン型（がた）は多数（たすう）の開発者（かいはつしゃ）が利用（りよう）するため検証（けんしょう）と改善（かいぜん）が進（すす）みやすいのが特徴（とくちょう）だ。オープン重視（じゅうし）の戦略（せんりゃく）をとる中国発（ちゅうごくはつ）AIがオープンAIなど米国勢（べいこくぜい）を性能面（せいのうめん）で猛追（もうつい）する構図（こうず）は当面（とうめん）続（つづ）きそうだ。

（杉山翔吾（すぎやましょうご）、岩沢明信（いわさわあきのぶ）、貴島逸斗（きじまはやと）、江口良輔（えぐちりょうすけ））

承知しました。それでは、「▼AIモデルスコアの調査概要」以降の本文にも、ふりがなを付けたバージョンを以下にご提供いたします。

▼AIモデルスコアの調査概要（ちょうさがいよう）
NIKKEI Digital Governance（にっけい デジタルガバナンス）と機会学習（きかいがくしゅう）ツールを提供（ていきょう）する米（べい）Weights & Biases（ウェイツ・アンド・バイアスィズ）との共同調査（きょうどうちょうさ）で国内外（こくないがい）の主要（しゅよう）AIモデルの性能（せいのう）を随時（ずいじ）計測（けいそく）している。22日（にち）公開（こうかい）のスコアでは計（けい）113モデルを対象（たいしょう）に言語力（げんごりょく）や倫理観（りんりかん）などを総合評価（そうごうひょうか）した。日本語（にほんご）で性能（せいのう）を測（はか）れる評価（ひょうか）テストを用（もち）い、質問文（しつもんぶん）を入力（にゅうりょく）し返（かえ）ってきた文章（ぶんしょう）を採点（さいてん）・評価（ひょうか）。解（と）かせた問題数（もんだいすう）は1モデルあたり6000超（ちょう）で「会話（かいわ）・創作力（そうさくりょく）」「道徳性（どうとくせい）」など、15種類（しゅるい）の項目別（こうもくべつ）に正答率（せいとうりつ）などの平均値（へいきんち）をとり、モデルごとのスコアを偏差値（へんさち）として算出（さんしゅつ）した。
調査（ちょうさ）の詳細（しょうさい）はNIKKEI Digital Governance「AI Model Score」で公開（こうかい）している。

中国語

2. 中国阿里巴巴Qwen成为日本AI开发基础，性能超越DeepSeek

#科技 #初创企业
2025年5月6日 5:00 [会员限定文章]

阿里巴巴云的人工智能模型Qwen = 路透社

阿里巴巴云的人工智能（AI）“通义千问（Qwen）”在日本的存在感正在不断提升。作为开放式模型，Qwen向外界开放技术，成为日本AI开发企业如ABEJA等新兴公司的选用对象。在日本经济新闻社4月发布的“AI模型评分”中，Qwen模型超越了中国DeepSeek模型，排名第六。

【相关文章】ABEJA发布AI模型，性能超越GPT-4o
ABEJA于4月17日发布了新模型“QwQ-32B Reasoning Model”。该模型为逻辑推理型，能够串联思考并输出答案，表现出高性能。而这一模型正是基于阿里巴巴的Qwen模型开发的。

根据日本经济新闻社的专业媒体“NIKKEI Digital Governance（日经数字治理）”对中美日等主要AI模型进行的日语性能综合评比，1月发布的“Qwen2.5-Max”在113个模型中排名第六。不仅基础语言能力如语法表现优异，在逻辑推理和数学方面也取得了好成绩。

Qwen的开放式模型展现出高性能也成为其一大特色。开放式“Qwen2.5-32B”在模型评分中排名第26，超越了美国谷歌的开放式AI“Gemma-3-27B”（第32位）和Meta的“Llama-3-70B-Instruct”（第57位）。

开放式模型允许外部企业进行训练，并开发自己的AI。在模型评分中，日本企业排名第一（总排名第21位）的“ABEJA-Qwen2.5-32B”模型也正是基于Qwen开发的。

在日本的新兴企业中，东京大学孵化的ELYZA（位于东京文京区）于5月1日公开了基于Qwen开发的模型。来自东京大学的Lightblue（位于东京千代田区）和Axcxept（位于札幌市）也正在使用该模型。

野村综合研究所的李智慧表示，Qwen因在小数据集下也能实现高精度，在多个指标中获得了日语能力的高度评价。

在海外也备受关注。据阿里巴巴云称，在程序共享平台“Hugging Face”上，Qwen衍生模型已开发超过10万个。与其他中国开放式模型相比，“在全球范围内也得到了实力认可”（李氏）。

阿里巴巴云还计划为日本企业提供模型的调整和定制服务。在日本本地服务器上部署AI模型的服务中，“无需将数据转移至海外即可使用Qwen”（该公司），也为防止重要信息外泄至海外做出了应对。

阿里巴巴云日本公司的负责人与谢野表示：“希望将中国的成功案例引入日本。”目前已与多家日本企业展开洽谈，负责日本业务的与谢野正宇表达了积极态度：“计划在三年内，将Qwen模型的使用案例增加至1000件以上。”

阿里巴巴云于4月29日公开了最新模型系列Qwen3。其预训练数据的token数量（模型处理文本的最小单位）约为36万亿，是Qwen2.5的两倍以上。该模型支持119种语言和方言，展现出快速的进化。

在开放式领域，另一家中国新兴企业DeepSeek也正在迅速崛起，在行政、汽车、金融等多个行业中其模型被广泛采用。开放式模型因被众多开发者使用，易于验证和改进。中国重视开放战略的AI企业，正持续在性能方面迅速追赶美国的OpenAI等企业。

（撰稿：杉山翔吾、岩泽明信、贵岛逸斗、江口良辅）

▼AI模型评分的调查概要

本评分由日经数字治理（NIKKEI Digital Governance）与提供机器学习工具的美国公司Weights & Biases联合调查，对全球主要AI模型的性能进行持续评估。4月22日发布的评分涵盖了113个模型，从语言能力到伦理认知进行了综合评价。

调查使用能以日语测量性能的测试方法，通过输入问题文本并对返回的回答进行打分和评估。每个模型所解答的问题超过6000道，评分分为“对话与创作能力”“道德性”等15个项目，并根据正确率等计算平均值，最终以偏差值的形式呈现各模型的分数。

调查详情可在“NIKKEI Digital Governance”的“AI Model Score”中查看。

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